レジは、商品を置くだけで電子決済へ。
ユニクロでのレジを初めて利用した時は…
買い物の未来を感じましたよね。
商品の識別をRFIDに変更したことで
瞬時に商品の識別が可能になりました。
私は以前…
RFIDに関する産業用機器を開発していました。
約10年ほど前のことです。
RFIDが当たり前の社会。
未来の買い物の形を想像していました。
現在の技術でも…
会計の定型業務は、ほぼ自動化できます。
問題は、商品タグのRFID化と通信設備。
あなたも考えたことはありませんか?
2025年…
その疑問に答えが出ようとしています。
コンビニ電子タグ1000億枚宣言
今回は、RFIDとコンビニから始まる…
未来への取り組みについて紹介します。
RFIDとは何か
車のキーレスエントリーや交通系ICカードなど身近な製品にも数多く採用されています。
RFIDリーダーとRFIDタグが通信することで
物品の追跡、識別、管理など…
様々なトレーサビリティを実現します。
特定の目的と要件に応じて設計され
通信帯やデータキャリアが選択されます。
RFIDの仕組みと特徴
RFIDは、周波数帯によって特性が大きく異なる無線通信技術です。
主な周波数帯はLF、HF、UHFの3つ。
LF (Low Frequency) | HF (High Frequency) | UHF (Ultra High Frequency) | |
---|---|---|---|
帯域 | 135KHz以下 | 13.56MHz | 860~960MHz |
通信方式 | 電磁誘導 | 電磁誘導 | 電波方式 |
特性 | 水や金属の影響を受けにくい | 水や金属の影響を受けにくい | 十数メートル離れていても一括で読み取れる |
弱点 | 通信距離が短い | 通信距離が5〜50cm | 水や金属など電波を遮断する素材や環境に弱い |
具体例 | 車のキーレスエントリー | 交通系ICカード | アパレル・物流のトレーサビリティ |
RFIDシステムのデータキャリア
主にICチップとアンテナで構成されている
RFIDのデータキャリアを使用環境や製品に
合わせて設計することになります。
RFIDタグ | RFIDタグは、情報を記録するICチップと無線通信するアンテナで構成。 タグと非接触による情報のやりとりをする技術の総称。 |
RFIDインレイ | RFIDタグの中心部分で、ICチップとアンテナから構成。 インレイは、RFIDラベルの製造過程で使用され、最終的なラベルの性能と機能を決定する。 |
RFIDラベル | RFIDインレイに粘着面を追加したもの。 商品やパッケージに貼り付け、商品の追跡や在庫管理などで使用。 |
RFIDの利用事例と展望
製造業や物流の世界では一般的なRFID。
一般社会に知れ渡ったのは…
交通系ICカードやクレジットカードなどの
非接触通信ではないでしょうか。
小売業に採用されて最も話題になった例は…
ユニクロですよね。
現在では、コンビニでの決済サービスも…
電子決済・非接触が当たり前。
残るは商品の自動認識です。
何故、ユニクロのようにコンビニでは
RFIDが採用されないのでしょうか。
それは、RFIDタグの価格や通信機器などの
設備コストにあります。
現状のバーコード方式は…
業界の常識であり設備も整っています。
さらにパッケージ印刷のみで完了するバーコード方式は、商品メーカーの低コスト化も支えているのです。
取り扱う商品の種類が多いコンビニにとって、各メーカーとの連携が必要なRFIDへの変革は至難の業といえます。
しかし、少子高齢化による人手不足対策や商品の安全性を担保するトレーサビリティ実現のためには、RFID方式が有効であることは確実です。
業界全体で、RFIDのシステムが普及すれば
必然的に供給コストも下がります。
思い切った改革が求められているのです。
コンビニ電子タグ1000億枚宣言
2023年9月度のコンビニエンスストア数は55,790店。
コンビニエンスストアで取り扱う商品数は
約2,500種類ともいわれています。
この膨大な数の商品に記載されている情報を
バーコードからRFIDに変える計画。
あなたはご存知でしょうか。
ユニクロと同じように、コンビニでも
商品の自動認識が始まろうとしています。
コンビニ電子タグ1000億枚宣言とは
経済産業省が策定した
「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」
2025年までに…
以下のコンビニが、RFID化を予定しています。
全ての取扱商品(約1000億個/年)に
電子タグを利用する計画です。
1000億枚宣言の背景と目的
小売業は、少子化による人手不足、大量生産・多頻度配送による食品ロスや返品などの課題に直面しています。
これらの課題は、現場スタッフの負担増や運営コストの増大につながるため、小売業各社は様々な対応策を講じています。
RFIDによる商品管理が、これらの問題解決に繋がることは明白です。
しかし、RFID自体の流通量が増えない限り、生産コストが下がらず、結果として社会には浸透しません。
そのような背景と目的から策定されたのが、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」なのです。
1000億枚宣言の留保条件
引用:経済産業省「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました~サプライチェーンに内在する社会課題の解決に向けて~
- 特殊な条件(レンジ温め、金属容器、冷凍・チルド、極細等)がない商品に貼付する「普及型」の電子タグの単価(ICチップ+アンテナ+シール化等のタグの加工に関する費用)が1円以下になっていること。
- ソースタギング(メーカーが商品に電子タグを付けること)が実現し、商品のほぼ全てをRFIDで管理できる環境が整備されていること。
1000億枚宣言のロードマップ
2017年に策定された
「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」
2018年から実証実験も開始されました。
日本チェーンドラッグストア協会と共同で
「ドラッグストア スマート化宣言」も策定。
小売業界全体での取り組みに広がっています。
RFIDタグの低価格化や標準コードの普及、
通信機器の開発など、最終的な解決期限は
2025年となっています。
1000億枚宣言の現状
現在、RFIDタグの単価は…
5〜10円程度と言われています。
1000億枚宣言の留保条件は…
電子タグの単価が1円以下になっている事。
現段階では…
2025年の実現は厳しい状況にあります。
RFID化の鍵は、RFIDタグの技術革新や流通量増加を目的とした業界全体の標準化といえます。
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コンビニRFID化の問題点
従来のバーコード管理からRFIDに変更するためには多くの課題があります。
商品メーカーは、セキュアなRFIDラベルの開発が求められます。
物流業界やコンビニでは、新たな通信設備や従業員への教育が必要となります。
業界全体の統一されたシステム制定と標準化が必須となるため、国が強力にリードする必要があるのです。
コンビニRFID化の効果
ユーザーの利便性
少子高齢化による人手不足の解消
品質管理
電子タグを利用して商品の情報を管理することで、商品の履歴をたどることができます。
例えば、コンビニで販売されている商品に異物が混入した場合、電子タグのID情報を活用して、その商品が製造された工場や出荷された店舗を特定することができます。
このように、電子タグの導入は、コンビニの品質管理の強化にも有効な手段となります。
コンビニ独自の取り組み
RFID方式以外の方式としてファミリーマートでは、複数の監視カメラと重量センサーによる自動化にも取り組んでいます。
RFIDとコンビニのまとめ
バーコード決済は驚くべきスピードで社会に浸透しました。
従来のバーコード読み取り機能を流用できたことも大きな理由でしょう。
よく考えてみると「顧客がスマホに表示したバーコードを店員が読み取る」というデジタルとアナログを繋ぐような不思議なシステムですよね。
RFIDにとって、バーコードというシンプルかつ普遍的な技術が、進化を遅らせていることも皮肉なことです。
それほど偉大な発明である証拠と言えるでしょう。
しかし、現代の日本が抱える様々な課題を乗り越えるためにも、次の段階に進むべき時なのではないでしょうか。
2025年
「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」は実現するのでしょうか?
これからもRFIDとコンビニに注目していきたいと思います。